イチゴの厳寒期の管理について
平素は、茨城生科研に対し多くに皆々様からご支援並びにご愛顧を賜りまして、誠に有難く厚く御礼を申し上げます。
12月も中旬になり今年も残すところ2週間とちょっととなりました。
12月になり、これまでの暖かさが何だったのかと思うくらい急激に温度が下がってきました。事務所所在地の笠間市岩間地区でも、早朝の気温がマイナスになる日が何日もありました。
四季折々の季節感のある日本でしたが、ここ数年は四季ではなく三季ではないかと思うくらい、秋を飛ばして冬になり、気温が急降下になっているように感じます。また、インフルエンザをはじめとする感染症に罹患している方も急増して、地元の小学校では学級閉鎖になっているところもありました。
そんな世の中ですが、農作物もとんでもないことになっているようです。特に露地作物の価格が高騰しております。自分自身キャベツを栽培しているので、さすがに12月中旬になれば価格も落ち着くかな~って思っていたのですが、まだまだ高い状況が続いていて、もうびっくりです。
さて、毎年同じことを記載しておりますが、いつもこのくらいの時期に書いている「イチゴの厳寒期の管理について」を改めてアップしていきますので、よろしくお願いいたします。
まず重要なポイントとして、
〇薬剤散布は、気象情報(特に前後)をきっちりと確認して、ミツバチの訪花に影響がないように注意して行ってください。
〇厳寒期のかん水はなるべく毎日・なるべく早い時間で行ってください。
〇朝の湿度はガク焼けやチップバーンの原因になります。しっかり湿気を抜いてから温度を上げるようにしてください。
☆温度管理について
・朝はゆっくりとした温度上昇と地温の確保のために内張りは早い時間から全開に!
・午後の気温をしっかり管理してください。
・気温が30℃以上になると生育が低下しますので注意してください。
・日中20℃以下になると生育が停滞し、奇形果や株疲れの原因になります。
・午前中の炭酸ガス施用は効果的ですので、実施する事をお奨めいたします。
また、圃場巡回等を行っていると、午後のハウス内の温度が低すぎる方が結構おります。働く方が暑くなっている場合に、低く管理する傾向にありますので、イチゴに合わせた温度管理。午後は25℃をキープするようにしてください。
<温度管理の目安>
(朝) ハウス内の温度が20℃以上になったら、☆内張りを全開にして光を取り入れて地温を確保しましょう!
(午前中) 基本的に内張りを開けた状態でゆっくり25℃以上まで温度を上げてから換気を行いましょう。そして、午前中は20~25度で管理するようにしましょう!
(午後) 午後は、午前中よりもやや高い25~30℃で管理してください。内張りは陽ざしがあるうちはなるべく開けておき、光線を取り入れ地温を上げて、夜温の確保に努めるようにしてください!
(夜間) 夜間は8℃前後を確保するようにしてください。ハウス内の温度が5℃を下回る場合は、午後の温度をやや高めにして、内張りカーテンも早めに閉めるなどして温度の確保に努めてください。
<かん水について>
厳寒期のかん水は、基本的に毎日、早い時間でのかん水施用をお奨めいたします。通常厳寒期には、地温よりもかん水に使用する井戸水の方が温度が高い圃場が多いようです。その場合は、毎朝早い時間時かん水を行なった方が地温より高くなり、厳寒期の生育が良くなります。地温計を設置して地温と井戸水の水温を把握してより適切なかん水施用を行うようにしてください。
<葉面散布について>
ポイント)
曇天が続いたらリン酸とカルシウムの葉面散布を!
<リン酸は太陽光と同じ植物のエネルギー源です。曇天の時は特にリン酸の補給を行いましょう>
厳寒期は地温よりも気温の方が高いのでかん水よりも葉面散布の方が吸収効率が高いです。定期的に葉面散布を行うことで、より効果も発揮します。
☆奇形果の軽減とチップバーン防止に
ホップアップ300倍+カルタス500倍で週1回程度定期的に葉面散布してください。
☆とちおとめは、なり疲れ対策としてジベレリンを生育状況に合わせ1~3ppmで20日に1回程度定期的に葉面散布してください。
・ジベレリン液剤40mlを200㍑に薄めて1ppmになります。約66㍑に薄めて3ppmになります。
※とちおとめは草勢が強い場合でも、薄い倍率で必ず時期に散布してください。
※電照を行っている場合はジベレリンの必要はありません。電照は夕方の日長延長方式で、日長が13時間になるように行ってください。
※特別な場合を除き、いばらキッス・やよいひめは基本的に必要ありません。
<かん水での追肥について>
根域への酸素の補給いために、MOXを月に1回程度で10aあたり10㎏をかん水施用してください。
葉面散布にも書きましたが、曇天時のエネルギ―補給と果実肥大のために、リン酸をしっかり吸収させてください。
施用液剤としては、新トーシンPK5~10㎏をかん水してください。
※新トーシンPKに配合されているリン酸(ポリリン酸)はエネルギーが多く、肥効がよいリン酸です。
次に果実の肥大と窒素の補給にアミノキッポ5~10㎏を週に1回程度かん水施用してください。
ただし、「いばらキッス」や「やよいひめ」は肥料の感受性が良いため、草勢を見ながら追肥の間隔を調整してください。
また、「いばらキッス」や「やよいひめ」は、即効性の「ライブリー」をアミノキッポの間に入れて5~10㎏かん水施用してください。
そして、イチゴのなり疲れの軽減に、「新チャンス液S10㎏」と「メリットM3㎏」を2週間おきにかん水施用してください。そして、「トーシンCa2号」を5~10㎏を月に2回程度(14日おき)かん水施用することにより、カルシウムの補給になり、頂部軟質や先青果の軽減につながりますので、施用するようにしてください。
言うまでもないと思いますが、良いイチゴをより多く収穫するためには、先を見越した管理と栄養補給が必要です。上記を参考にしていただき、より良いイチゴの生産をお祈りしております。
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