イチゴの暖候期前半の管理について
平素は、茨城生科研に対し多くの皆々様から多大なる御支援とご愛顧を賜り、誠に有難く厚く厚く御礼を申し上げます。
まずは、間もなく東日本大震災から丸10年になります。
まだ10年、もう10年、人によって考え方はいろいろだと思いますが、
個人的にはこの10年、あっという間だったような気がします。そして、10年経ってもあの時間2時46分のことは、鮮明に脳裏に焼き付いております。
ここで書いてしまうと本題と大きく逸れてしまいますので止めておきますが、地球の力というものを感じております。そして今のコロナ禍。なんだかなぁって感じです。ワクチンの接種が始まりましたので、なるべく早い収束をただただ、願うばかりです。
ハイ!それでは本題に入ります。
イチゴの暖候期前半の管理についてです。
まずは気象情報からです。
昨日気象庁より、「高温関する早期天候情報」が発表されました。
以下気象庁のページの抜粋です。
「高温に関する早期天候情報(関東甲信地方)
令和3年3月8日14時30分 気象庁 発表
関東甲信地方 3月14日頃から かなりの高温
かなりの高温の基準:5日間平均気温平年差 +3.1℃以上
関東甲信地方の向こう2週間の気温は、暖かい空気に覆われやすいため、
かなり高い日が多いでしょう。農作物の管理等に注意するとともに、積雪の多い地域では、なだれに注意してください。また、今後の気象情報等に留意してください。」
と言うことですので、皆さん温度管理には十分注意をしてください。
これまでのイチゴの状況ですが、今年は非常に根の張りが悪い上に、花が連続して来ているため、春先になり疲れからの軟弱徒長、奇形果、小玉果などの発生が心配されます。地温が上がる3月下旬までの間の管理が暖候期の収量や果実の品質に大きく影響します。ですので、しっかりとした、保温・かん水・追肥の管理が必要です。株の芯の動きや果実の状態をよく観察しながら適切な管理を行ってください。
1)まずは、温度管理です。
☆気温は午前中20~25℃、午後は25~29℃をキープしてください。
☆ポリリン酸は植物のエネルギーです。曇天が続いたらリン酸を補給してください。
☆夜温は6℃以上で、なるべく低い温度で管理してください。
・毎日の換気について!! 12℃以上の夜温は果実の品質低下の原因です。
巡回をしていると、比較的午後のハウス内温度が低いハウスが大変多いです。午後の低温管理はなり疲れの原因になります。午後は25℃をキープするようにしてください。
(目安)
早朝~ハウス内の温度が20℃以上になったら、内張りを両サイド全開にして、光を取り入れ地温を確保してください。
午前中~内張りを全開にして、外張りは全閉のままで25℃程度まで保温する。湿度が上がり過ぎたり、二酸化炭素濃度が下がり過ぎた場合は適宜換気を行ってください。 30℃以上では、光合成が停滞します。
午後~午後は午前中よりやや高い25℃~30℃で管理してください。温度の下がり過ぎに注意してください。☆陽ざしのあるうちは、ハウス内温度を20℃以下にしない。
夜間~6℃以上を確保する。最低気温が6℃以上の日は、夜温が上がり過ぎないように注意してください。
2)ビビフルフロアブルの使用について ☆暖候期の徒長抑制
日長時間が12時間を超えてきて、暖候期に株が伸びすぎて作業が困難になってしまう場合は、ビビフルフロアブルを規定倍率で葉面散布すると徒長抑制になります。
※ビビフルフロアブルの使用については、商品ラベルをご確認ください。
3)果実の品質向上と奇形果防止のための管理
前段でも書きましたが、今年は根が少なく、頂果、腋果が連続して来てたこともあり、なり疲れしている圃場が見受けられます。このまま暖かくなると軟弱徒長や小玉果、奇形果などが心配されますので、下記の葉面散布を実施して春先の株のバランスを改善しましょう。
日長が12時間を超えたら
根っこりん300倍+アミノメリット黄500倍
7~10日おきに2~3回葉面散布してください。
平均地温が18℃以下の状況では、根からの養分吸収が極端に低下します。気温が上がり始める3月は、気温や日長の影響でイチゴ体内でのジベレリンが生成されるので、株は大きくなってきますが、正常な生育に必要な養分は、地温がまだ低いので十分根から吸収されません。特に、リン酸や微量要素、カルシウムなどの吸収が極端に低下します。春に果実の品質が低下するのは、そのためです。
リン酸や微量要素を葉面から吸収させてあげ、養分吸収のバランスをうまくとってあげることが、暖候期初期の果実品質向上のポイントです。
4)なり疲れを防止する液肥管理
暖候期は、当然ですが秋に施用した肥料分はなくなり、株も大きく果実も一番収穫できる時期です。温度、気温も十分になり、イチゴが一番栄養を必要とする時期です。しっかりと追肥をしてあげることで、暖候期の品質低下を軽減できます。
窒素は、アミノ酸や硝酸態窒素での補給により食味の向上や、先青・先白の軽減になります。リン酸は、エネルギー量の多いポリリン酸での補給が、より地温が低い状況での吸収効率が良く、果実肥大に有効です。
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