イチゴ栽培管理~親株~
日頃より茨城生科研に対し多くの皆々様から多大なる御支援とご愛顧を賜りまして、誠に有難く厚く厚く御礼を申し上げます。
さて、今週は比較的短いスパーンで投稿させていただいております。
前回はイチゴの本圃の3月の管理についてアップしました。
イチゴの収穫は、序盤戦が終わりいよいよ中盤戦に入っている時期で、とてつもなく忙しくなってくる時期でもあると思います。
が、しかし3月以降になるとその忙しさにプラスして、次の年の育苗の準備も併せて行っていかなくてはいけません。本当にお疲れ様です、としか言いようがありません(汗)
と言う事で、今回は親株について書いてまいります。
ちなみに、昨年の同時期にもかなり(ほぼ)同じ内容の事を書いております。毎回見て頂いている方にとっては、「またか」と言われるかもしれませんが、振り返り(復習)の意味を含めて、暖かくみてもらえればと思います。
まずは、親株の定植時期についてです。
「とちおとめ」については、必ず3月中に定植を済ませるようにしてください。作業が遅れて4月になってからの定植では、ランナーの発生不良を起こす心配がありますので注意してください。
「いばらキッス」や「やよいひめ」については、比較的ランナーの発生が良い品種なので、イチゴの作型に合わせて、4月に入ってから上中旬ごろに定植を行っていくのが良いです。
☆上記の親株が2月下旬ごろから根の動きが始まったら、「タンソ病」「イオウ病」を中心に7~10日おきに防除をしっかり行うようにしてください。
☆プランターや大型ポットに定植の場合は、移植後速やかに施肥を始めて下さい。肥料は、液肥または追肥用化成肥料の方がロングタイプの肥料に比べてランナーの発生は良いです。
☆定植後、最初に発生した弱い(赤い)ランナーは極力早いうちに取り除いてください。このランナーを整理することで親株の草勢が強くなり、ランナーが揃って発生してきます。
次に「採苗の準備」です。
基本的には、保温ができるハウス内で採苗を行ってください。日中の温度が20℃、夜間が10℃以下の時には、保温を行ってください。また、育苗期間の遮光資材も開け閉めができるように設備を行うようにしてください。育苗期間中にしっかりと苗に光をあてられるようにしないと、頂果房の分化の遅れや奇形果、腋果房の分化にバラつきや根腐れの発生につながる恐れがありますので、注意してください。
キノコバエなどの発生は、湿度の高い圃場や堆肥場の近くの圃場、畜産厩舎の近くの圃場などで多く見受けられます。また、採苗や育苗時に有機質肥料を使用する圃場も発生が多いので、しっかりと対策を行なうようにしてください。
「かん水」についてです。
親株へのかん水は、点滴チューブを使用したり、マルチを利用して親株元だけにかん水できるように設備してください。なぜなら、親株にしっかりとかん水さえされていれば、ランナーが水分不足になる事はありません。ランナー部分は必要に応じて手かん水、もしくはミストかん水で灌水してください。
かん水チューブや頭上かん水での水撥ねは、根腐れやイオウ病、タンソ病の原因になりますので注意してください。また、こまめにランナーをピンで止めて、親株に充分かん水してあげれば先焼けなどを軽減できます。ランナーの発生は「かん水量と比例」します。充分なかん水を行ってください。
☆プランターやポットを使用する場合は、夏場の高温時には培土の温度上昇による根腐れ防止のためにタイマーで2~3時間おきに、1日4~6回のかん水ができるように設備してください。
「ランナーの管理」です。
上記に書きましたが、親株定植後、初期に発生する細いランナーは、4月下旬くらいまでは出てくるたびになるべく短いうちに取り除いてください。これを残してしまうと親株に負担がかかり、親株の初期生育が停滞して結果的にランナーの発生が少なくなってしまったり。苗の大きさがバラつき、花芽の分化がバラついてしまいます。また、初期にランナー取りをしないで4月後半に出てくるランナーを一度に採ってしまうのは、逆効果になりランナーの発生不足になる事がありますので注意してください。
先焼けは、こまめにランナーをピンなどで止めて、親株に充分なかん水をしてあげれば軽減できます。
特に、次郎苗の先が伸びる時期が焼けやすいので、この時期にはきちんと葉数を整理したり、遮光をかけたりして注意するようにしてください。
最後に「わき芽の管理」です。
強いわき芽は残してあげて、2~3芽ぐらいで管理した方がランナーの発生数は多くなります。しかし、芽を残し過ぎて葉数が多くなり、根から給水量よりも葉からの蒸散量の方が多くなると葉の展開が止まったり、ランナーの先焼けの原因になります。芽の数にもよりますが、親株の葉数は10~15枚程度で管理して、ランナーの葉も3枚程度で管理してあげるとランナーの発生もよく、苗の生育、花芽分化ともに揃った良い苗が取れてきます。
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