イチゴ暖候期後半のかんりについて
平素は茨城生科研に対し多くの皆々様から多大なる御支援とご愛顧を賜りまして、誠に有難く厚く御礼を申し上げます。
さて、事務所所在地の笠間市岩間地区も桜の花が咲き始めてきております。
故郷の山「愛宕山」も下の方からソメイヨシノの花が咲き始め、来週には見ごろを迎えるくらいになっております。
しかし、例年ない暖かさで桜の開花も本当に早くなっております。大げさかもしれませんが、一昔前は入学式に桜の花だったのですが、最近では卒業してなんて声も聞こえてくるように成ってきております。
確実に、地球があったかくなっているのを実感してしまいます。
さて、その異常な温かさの中、イチゴの収穫も折り返しが過ぎ、いよいよラストに向けてと言うところだと思います。
以前にも「暖候期」の管理についてアップしましたが、一部重複するとは思いますが、「暖候期の後半の管理」について、アップして参ります。
暖候期になるとイチゴの果実は、「糖度」が低くなったり、果実や果皮が柔らかくなって傷が出来たりします。
これらの原因を確認して、対策をとることである程度「暖候期」の品質低下を軽減することができます。
その原因の幾つかを上げてみると
その1
必要な栄養分の欠乏による果肉や果皮の軟弱化
暖候期には、当然のことながら元肥は無くなり、株も大きく果実も一番収穫できる時期です。温度、気温も十分になり、イチゴが一番栄養を必要とする時期です。この時期にしっかりと追肥を行うことで、暖候期の「品質低下」を軽減することができます。
特に窒素は、アミノ酸や硝酸態窒素での補給により食味の向上や先白・先青の軽減につながります。リン酸は高エネルギーのポリリン酸での補給が、より地温が低い状況での吸収効率が良く果実肥大に友好的です。
<対策1>
エネルギーの補給として、新トーシンPKを5kgを週1回かん水施用してください。
<対策2>
頂部軟質果対策として、トーシンCa2号を5kgを月に2回かん水施用してください。 ※トーシンCaは他の液肥などと混用できませんのでご注意ください。
<対策3>
「品質向上対策」にアミノキッポもしくはアミノキッポ3号10kgを週1回かん水施用してください。
その2
気温が温かくなることで、受粉から収穫までの期間が短くなり、その分糖度などの蓄積が減少してしまいます。
イチゴの開花から収穫までの積算温度は、時期による光線の強さや日長の長さにも影響されますが、およそ600℃程度となっております。12月、1月などでは50日以上かかる場合もありますが、暖候期には30日程度で収穫になってきます。つまり、時期によって果実に糖分などを蓄える時間が40%以上短くなるわけです。ですから、今後の温度管理はいかに日中の温度を確保しながら一日の平均気温を下げてあげることが必要になってきます。
その3
開花から収穫までの期間が短くなることで、収穫が間に合わなくなり。過熟果になってしまう。
毎日の換気は、非常に果実の品質に影響します。まず重要なことは日中の温度を20~27℃程度を目安に保つことです。暖候期では午前中高すぎて午後寒いといった温度管理の圃場が多くみられます。また、高すぎる夜温は呼吸による糖分の消費が起きて、糖度が低く腐りやすい果実になってしまいます。
上記の事に注意して、下記の温度管理を行うようにしてください。
早朝~涼しい日は外張りを調整して保温を行う。
午前中~湿度過剰に注意しながら20~28℃程度で管理してください。当日収穫予定のハウスは作業終了まで保温しなくてもよいです。※30℃以上では光合成が停滞します。
午後~午後は午前よりもやや高い25~30℃で管理してください。温度の下がり過ぎに注意してください。
夜間~ハウス内は6℃以上を確保してください。最低気温が5℃以上の日は、換気を全開にしてください。内張りは全開にしてください。
その4
根が弱いうちに地上部の生育が旺盛になってしまうため、徒長したりわき芽が出てしまい、わき芽にも花がついて小玉果が増え養分の分散が起きてしまう。
根張りの弱い年は、わき芽が多く暖候期の軟弱徒長や奇形果、小玉果などが予想されます。日長が12時間を超えてくる3月上旬から地温が上がってくる3月下旬までの温度や追肥の管理が暖候期の収量、果実の品質に大きく影響します。
平均地温が18℃以下の状況では、根からの養分吸収が極端に低下しています。また、地温が20℃前後まで上がってこないと春根が伸長してきません。気温が上がり始める3月は、気温や日長の影響でイチゴ体内でジベレリンが生成されるので、株は大きくなってきますが、正常な生育に必要な養分は地温がまだ低いので、充分に根から吸収されません。特に、リン酸や微量要素、カルシウムなどは吸収が極端に低下します。春に株が徒長したり、果実の品質が低下するのは、それらが原因になります。リン酸や微量要素を葉面から吸収させてあげ、養分吸収のバランスをうまくとってあげることが、暖候期の果実品質向上のポイントです。
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