イチゴの親株管理について
平素は、茨城生科研に対し多くの皆様方から多大なるご支援とご愛顧を賜りまして、誠に有難く厚く御礼を申し上げます。
三月に入って初めての投稿になります。
昨日は、3月11日でした。
9年前の事は、昨日の事のように鮮明に覚えております。
自然の出来事とは言え、あのようなことは起こってもらいたくないですが・・・
今、世の中は新型肺炎コロナウイルスで世界的に大変な状況になっております。
いろんな所で、いろんな方々が一生懸命、終息に向けて尽力してくれておりますが、
とりあえず、今自分に出来ることをしっかりやることくらいしか、予防策はないと思うので、とりあえず「手洗い」をしっかり行ってウイルスが寄り付かないように対策していきましょう。
さて、今回はイチゴの「親株」の管理についてアップして参ります。
まずは、これからの管理スケジュールとして
3月1~10日→親株の根が動き始まったらタンソ病・イオウ病を中心に7~10日おきに定期的に防除を行ってください。また、この時期以降は肥料を切らさないでください。
3月20日頃→とちおとめの親株は必ず3月中に定植してください。4月に入ってからの定植は、ランナーの発生不良の危険があります。
いばらキッス、やよいひめは、4月中に定植してください。
4月1日→プランター等の施肥開始。プランターや大型ポットに定植の場合、活着後速やかに施肥を始めてください。
施肥は、液肥または追肥用化成肥料の方がロングタイプの肥料に比べてランナーの発生が良いです。
4月20日頃→最初に発生する弱い(赤い)ランナーを整理すると、親株の草勢が強くなり、良いランナーがそろって発生します。
5月上旬→この時期でも、まだ夜温や10℃前後の日は、夜間保温を行ってください。
〇採苗の準備
基本的には、保温の出来るハウス内で採苗を行い、日中20℃、夜間10℃以下の時には保温を行ってください。近年は、夏から秋にかけて天候不良や定植後の降雨による初期生育の停滞や、保温やマルチの作業遅れなどが原因による頂果、腋果の奇形、腋果の花芽分化の遅れ、バラつきが目立つようになってきました。その原因の一つとして、株が強すぎることが挙げられます。株が強くなりすぎることを防ぐために、親株はメリクロン苗から3代以上、フリー苗でも2代目以上の苗を親株として使用してください。
また、育苗期間にしっかりと光をあてられるようにしてください。頂果房の奇形果や腋果房の分化のバラつきや根腐れの発生は、育苗期間中遮光ネットをかけっぱなしの圃場に多く見受けられます。育苗圃場は、遮光ネットが上げられるように設備してください。
〇かん水について
親株へのかん水は、点滴チューブを使用したり、マルチを利用したりして、親株元だけにかん水できるように設備してください。基本的には、親株にしっかりかん水されていればランナーが水不足になることはありません。ランナー部分は必要に応じて手かん水もしくは、ミストかん水で灌水してください。かん水チューブや頭上かん水での水はねは、根腐れやイオウ病、タンソ病の原因になりますので注意してください。
また、ベンチ採苗でない場合、こまめにランナーをピンなどで止めて、親株に充分なかん水をしてあげれば先ヤケなどを軽減できます。
プランターやポットを使用する場合は、夏場の高温による根腐れ防止のためにタイマーで2~3時間おきに1日4~6回のかん水が出来るように設備してください。
〇ランナーの管理
親株定植後、初期に発生する細かいランナーは、なるべく短いうちに取ってください。これを残してしまうと、親株に負担がかかり、親株の初期生育が停滞して結果的にランナーの発生が少なくなってしまったり、苗の大きさがバラつき、花芽の分化がバラついてきます。
また、初期にランナー取りをしないで4月後半に出ているランナーを一度に採ってしまうのは、逆効果になりランナーの発生不足になることがあるので注意してください。
先ヤケは、こまめにランナーをピンなどで止めて、親株に充分かん水してあげれば軽減できます。特に次郎苗の先が伸びる時期が焼けやすいので、この時期にはきちんと葉数を整理したり、遮光をかけたりして注意してください。
〇わき芽や葉の管理
強いわき芽は残してあげ、2~3芽ぐらいで管理した方がランナーの発生数は多くなります。しかし、芽を残しすぎて葉数が多くなり、根からの吸水量よりも葉の蒸散量の方が多くなると、葉の展開が止まったり、ランナーの先ヤケの原因になります。芽の数よりますが、親株の葉数は10~15枚程度で管理して、ランナーの葉も3枚程度で管理してあげるとランナーの発生も生育も、花芽の分化ともそろった良い苗が採れて参ります。
まだまだ収穫の真っ最中ですが、次年度に向けた準備もしっかりと行うようにしてください。
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