イチゴ栽培情報~天候不良時の育苗管理

平素は、茨城生科研に対し多大なる御支援と御愛顧を多くの皆々様から賜り、誠に有難く厚く御礼申し上げます。


ここにきてやっと夏が戻って来ましたが、それにしても天候不良が続いております。

予報が晴れでも、大気が不安定で突然の雷雨があったり、レーダーに映らないような雨雲がありシトシト降ったり、まったく困ったもんです。


先日急ぎで、トマトの天候不良対策を流しましたが、今回はイチゴの対策をお送りいたします。


今年の天候で、苗の状態は決して良いとはいえない状況になっております。曇天続きの場合は、極力遮光ネットをはずして、太陽の光を入れるようにして下さい。好天になったら適度に遮光を行なってください。

また、太陽熱処理に関しても、地温の上昇や醗酵はが不十分のようであれば、薬剤を使用した土壌消毒に切り替えることも検討する必要があるかもしれません。

それ以外の液肥等の管理について下記に記載していきます。


1、天候不良時の追肥と葉面散布

                   (一株辺りの窒素量は140~200mgが目安です)

☆ポット錠ジャンプP25の施用時期(窒素60mg/1株)

ポット錠ジャンプの肥効は、施用後25~30日です。現在のイチゴの育苗は、夜冷で60~70日

無処理で70~90日以上になっており、成分量的にも肥効期間的にも不足しています。芽無しの防止や確実な花芽分化のために、置き肥の2回施用や液肥との併用を行ってください。


☆発根促進と定植後の活着促進

今年は、天候不順で非常に根の張りが悪いです。しっかりとして根を張らせるために定植2週間前頃にポット抜きを行なって、発根を促してください。そして、老化苗を防いでください。

 新チャンス液S 300倍 + メリットM 800倍

   ポット抜き後に混用して1~2回かんすいして下さい。


☆追肥の時期と方法

窒素の切り過ぎは、不時出蕾の原因や展葉の停滞により、花芽分化が遅れる場合があります。

しかし、ここ数年の気温上昇で夜冷でも花芽分化が遅れてきております。置き肥をして30日ぐらいから育苗後半に窒素レベルが高くならないように注意しながら追肥を行なってください。


  アミノキッポ3号 300倍 を

          週1回かん水して下さい(1回に窒素約10mg/株)

         5~7日おきに苗7,000本にアミノキッポ3号の原液2kgが1回の目安です。


☆葉面散布による天候不良対策

  ホップアップ 300倍 + カルタス 500倍 

                   をなるべく毎日葉面散布して下さい。

   ※培土に十分肥料成分がある場合は、メリット赤300倍+カルタス500倍

   ※特に色抜けのひどい場合はアミノメリット黄500倍+カルタス500倍


2、葉かきついて~花芽の揃いと分化促進のために

今年は天候不良のため、苗の生育がかなり悪いです。徒長はしてしまいますが、葉かきをしすぎると生育不良で花芽の分化や初期収量、なり疲れなどの原因になります。適正な葉数で管理して下さい。

葉数は、開花時に8枚以上が理想です。最終的には検鏡時の葉数+未展開葉数=8枚以上になるように管理します。目安としては、鉢上げ後、新葉が1枚展開したら、すべての苗の葉数を1.5枚~2枚に揃えるように葉かきをして下さい。その後、8月中旬までは4枚程度で管理して、8月20日頃に1.5~2枚に揃えるように葉かきを行い、その後の定植前は、葉かきを行なわず、葉数4~6枚の苗を定植して下さい。夜冷を行う場合は、夜冷開始時に2~2.5枚に葉数を揃える様に葉かきを行い、花芽分化までは、3枚程度で管理して、分化後は葉数を増やしてください。


3、かん水と温度管理~天候不良時は、培土が乾いてからしっかりかん水をして下さい。

葉数が3枚、4枚となっていくに従い、葉からの蒸散も増えていきます。午後からのかん水を行なう時には、下記の手順で行なってください。

 1)必ずポットを抜いて培土が中まで乾いているか確認して下さい。

 2)遮光ネットをかけてポット内部の温度を下げてから行なう。

 3)その後は、翌朝まで遮光ネットをかけたままにしてあげるか、夕方気温が低くなってから外す

 4)かん水量は、夜間の過剰な水分は徒長の原因になりますので、葉水程度にする。


以上に注意して行ってください。また、外気温が30℃を超えるような場合は日中遮光ネットなどをかけてしおれや焼けを防いでください。


4、花芽検鏡  これがとても重要です!

花芽検鏡は必ず行なってください。特にここ数年は夏の高温などにより花芽の分化は遅くなる傾向にあります。夜冷の場合は8月下旬に1回行い、無処理では9月10日頃を目安に行ないましょう。

このときにまだ花芽分化していない場合は必ず再度検鏡を行なってください。

定植は、花芽分化後(分化期後期以降)2~3日待ってから行なってください。定植時期がおくれても苗にしっかり追肥を行なっていれば問題はありません。早すぎる定植は、かえって収穫時期を遅らせる場合がありますので特に注意して下さい。


㈱茨城生科研・AGRI WORLD

明るい豊かな農業社会の実現に向けて!

0コメント

  • 1000 / 1000