イチゴの親株の管理について
日頃より、茨城生科研に対し多くの皆々様から多大なる御支援とご愛顧を賜り、誠に有難く心より御礼を申し上げます。
さて、5月の下旬になりイチゴの収穫も終盤もしくは終えた圃場が多いのではないでしょうか。
とはいえ、一息ついている暇もなく、次年度の向けて本格的に育苗の作業になってきます。
近年の異常気象の影響で、花芽分化の遅れが顕著に表れております。花芽分化の遅れは収穫の遅れにつながってきてしまいます。
苗をきっちり育苗して、次年度に向けて良いスタートを切っていきましょう。
<6月からの主な作業日程の目安>
6月上旬~ 直受け開始
〇直受け開始が早すぎると芽無しの発生が多くなってしまいますので、ご注意ください
〇直受け後も切り離しを行うまでは栄養を親株から供給しています。親株が肥料不足になると苗も肥料切れになり芽無しが発生します。
6月上中旬~ さし芽開始
〇さし芽時には、展葉3枚以下の苗を使用して、親株側のランナーを長く残して、土にピンでしっかり固定してください。
6月下旬~ さし芽終了
ここ数年梅雨明け後に急激な高温になる場合が多いので、早めに作業を巣埋めるようにしてください。
7月上旬~ 直受け切り離し
7月中旬~ 葉かき開始
〇活着後、展葉2枚時にすべての苗の葉数が揃うように行ってください。株を充実させるには4枚目以降の葉が必要です。葉をかき過ぎないように注意してください。
【親株の肥料切れには十分に注意しましょう】
プランターやポットでの親株定植後は、肥料切れに注意してください。液肥の場合は最低2~3日おきに「アミノキッポ」300倍をかん水してください。自動かん水の場合は、あまり高濃度での灌水のたびに液肥を混入するよりも、1日1回の施用にするか、EC0.5~0.8程度の濃度のほうが良い苗が取れる傾向にあります。粒状肥料の場合は、追肥用の化成肥料のような速効性の肥料を2~3週間んい1回程度、採苗の終了までしっかりと追肥を行ってください。
有機肥料や堆肥などの施用は、コバエやカビなどの発生の原因になりますので、使用を控えるようにしてください。
また、ロングタイプの肥料では肥効が遅すぎてランナーの発生が良くないのです。特に、直受けの場合は、後半の親株の肥料切れは多く見受けられます。
切り離しまでは、しっかりと追肥を行ってください。
【かん水量(回数)=ランナーの発生数です】
親株へのかん水は、常に株元が濡れているようにしてください。プランターやポットなどに親株を植えている場合は、1回1回のかん水が必ずプランターの下から水が出てくるまで行い、酸欠を防いでください。水分補給としてのかん水は、1日1~2回で十分ですが、ランナー発生後は、培土の温度が上がり過ぎないように、1日になるべく4~8回程度かん水してください。
【葉かきとランナーの管理】
ランナーの先枯れ防止とランナーの発生促進のために、次郎苗の展葉時期に葉かきを行ってください。葉数は1芽の場合は10枚以下、2~3芽でも12~13枚程度にしてください。また、大きくなった太郎苗や次郎苗の葉数も2~2.5枚程度に整理してあげると効果的です。
この時、葉は葉柄から切るのではなく、しっかりとかいてください。ランナーは次郎苗の展開時期から先枯れが出始めます。この頃までにつる配りを行い、ランナーの先端をしっかりピンなどで固定し、親株にしっかりとかん水を行っていれば、先枯れは軽減できます。
【さし芽での採苗の場合】
・さし芽の時期
さし芽の適期は、6月10日~20日頃です。毎年6月の下旬から7月の上旬に猛烈な暑さが来る場合があります。その前に活着するように早め早めに開始してください。作業は遅れて7月以降になってしまう場合は直受けに変更する事をお奨めします。
・活着促進と芽無しの予防
使用する苗は、なるべく展葉3枚までのものを使用してください。ランナーの切り離し前日には、「アミノメリット青500倍+根っこりん300倍」を苗に葉面散布もしくは、採苗した苗をドブ漬けしてください。ポットの土には、「新チャンス液S300倍」などの発根促進剤をかん水しておいてください。さし芽後は「アミノメリット青500倍」を1枚展開するまでの間、2~3日おきに葉面散布を行ってください。さし芽後、1~1.5枚展葉したらポット錠を施用してください。
【直受けでの採苗の場合】
・受け始める時期を受ける苗
受け始める時期は6月5日頃からで、受け始めた時点で展葉4枚以上の苗は芽無しが出やすいのでなるべく使用しないで展葉3枚までの苗を使用してください。
・切り離し
無処理の場合は7月の中旬ごろまでに行ってください。夜冷の場合は夜冷開始1ヶ月前を目安に切り離しを行ってください。切り離し後は速やかに「ポット錠」を施用してください。
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