イチゴ栽培管理情報~定植前後の管理について~

平素は茨城生科研に対し、多大なるご支援とご愛顧を多くの皆様から賜りまして、

誠に有難く厚く御礼申し上げます。

そして、今回台風15号において、甚大なる被害に遭われた皆様へ、お見舞いを申し上げます。一日でも早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

さて、イチゴの栽培も定植時期を迎えております。

すでに定植してしまった、という方もいらっしゃると思いますが、「イチゴの定植前後の管理について」をアップして参ります。


今年は、育苗期の高温や天候不順などで、不時出蕾や根腐れが多く、炭疽病・イオウ病育苗後半から多く見られるようになりました。

また、今後の一か月予報では雨が多く、気温も高い傾向になっております。

このような年には、うどんこ病が多く発生したり、腋果の分化が遅れて奇形果になったり、厳寒期に休んでしまうことが多い傾向にあります。

10月まで間、比較的地温が高いうちにしっかり根を増やす事が今年のポイントになると思っておりますので、次の管理を参考にしてください。

〇発根促進と定植後の活着促進

今年は、6~7月の天候不良と8月上旬の暑さで、根焼けや根腐れの苗が非常に多く見受けられます。根焼けや根腐れでしおれている苗の少なくありません。定植10~15日前に下記の管理を行い、根っこを活性化してから定植するようにしてください。

1)ポット抜きを行い⇒MOX(酸素供給剤)300倍をかん水処理

2)上記の2~3日後に⇒根っこりん 300倍液を葉面散布

〇追肥の時期と方法

窒素の切り過ぎは、不時出蕾の原因や展葉の停滞により、花芽分化が遅れる場合があります。しかし、ここ数年の気温上昇で夜冷でも花芽分化が遅れてきております。育苗後半には窒素のレベルに充分注意してください。

目安は硝酸イオン試験紙で以下の通りです。

・とちおとめ

   無処理~8月中  100~250  9月以降 50~100

   水夜冷~処理期間 100~250 分化後 100~500

   クーラー夜冷~処理期間 100~500 分化後 100~500

・やよいひめ、いばらキッス

   無処理~8月中  100~250  9月以降 10~50

   夜冷に関しては、「とちおとめ」と同様です。

☆液肥施用の目安は7000本の苗にアミノキッポ1kgを3~5日おきにかん水してください。

<葉面散布について>

☆花芽分化促進のために、夜冷の場合も行ってください。

今年は、花芽の分化が遅れています。また、ここ数年は秋の高温や曇天のため、定植後の葉の展開分化が遅れたり、分化後の花芽の成長が遅れたりして、収穫開始が遅れたり、腋花の分化の遅れやバラつきが目立ちます。しっかりと花芽を分化させて、成長させるためにしっかり「ホップアップ 300倍」の葉面散布を行ってください。

<葉かきについて>

ポイント 葉はイチゴの生産工場です。☆

葉が少ないと品質や収量の低下、なり疲れなどの原因になります。適正枚数でしっかりと管理してください。また、わき芽が多いと春以降果実の品質低下や病害虫の多発の原因になります。少なくとも、収穫が忙しくなるころまでには、1芽で管理してください。

・理想の展葉枚数(目安)

ポット育苗の場合 

定植時⇒4~6枚 出蕾期⇒7~8枚 開花期⇒8枚以上 収穫期⇒10枚以上

無仮植等

定植時⇒4枚 出蕾期⇒5~6枚 開花期⇒6枚以上 収穫期⇒10枚以上

<脇芽の管理について>

今年は、育苗期間中の根張りが悪いのと、秋に雨が多い長期予報になっております。このような年には、たくさん出てしまう傾向にあります。マルチ後には、「新チャンス液」などを施用してしっかりと根を張らせ、且つ、わき芽の整理をしっかり行ってください。

<マルチング、温度管理について>

ポイント ハウス内に気温計と地温計を必ず設置しましょう☆

保温やマルチなどの管理は、生育ステージや時期で作業を進めるのではなく、実際の気温や地温を確認して、温度に合わせて作業を進めてください。

そのために、圃場内には必ず気温と地温を測る温度計を設置してください。

マルチングは、腋果の分化または、頂花の出蕾のどちらか早い方に合わせて行ってください。外張りの被覆は、花芽にはほとんど影響がないので活着後速やかに被覆を行ってください。

☆地温が20℃以下になると根の発生・伸長は止まってしまいます。

☆日中20℃以下になると生育が停滞し、奇形果や株疲れの原因になります。

ビニール張替え⇒10月10日頃。(外気の最低気温が8℃以下の日は、保温する)

内張りカーテン⇒10月中。(外気の最低気温が5℃以下になったら夜間は閉める)

マルチ⇒頂花房開花初期(朝9時ごろの地温が20℃以下になったら) 

         


㈱茨城生科研・AGRI WORLD

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