イチゴの育苗期の管理について
日頃より㈱茨城生科研に対し、多くの皆々様から多大なるご支援とご愛顧を賜りまして、心より深く御礼を申し上げます。
久しぶりのイチゴの情報です。
いま育苗は、差しの方はたぶんほぼ終了?し、受けの方も現在まさに行っている頃ではないでしょうか?
そんな状況で、毎年この時期に記載する情報はほぼ同じなのですが、いつも見ていただいているイチゴの生産者の方々には、復習のいみを込めて、初めてご覧いただきている方には、より良い情報提供ということで、書いてまいります。
さて、今年の状況ですが
新型コロナウイルス感染症の影響で、圃場を回ることができませんでしたが、
親株の定植等が、時期的にきちんとできている方は、しっかりとランナーが発生していて、残念ながらできなかった方は、あまりよろしくない様な感じになっております。
そのような状況のなかで、これからの管理が当たり前ですが、この資料を参考にしっかりとした苗を育苗してください。
まず、追肥と葉面散布についてです。
※1株当たりの窒素成分として140~200mgが目安になります。
☆弊社のポット錠ジャンプP25の施用時期について
(1錠/窒素60㎎/1株)
ポット錠ジャンプの肥効は、施用後25~30日です。現在のイチゴの育苗は、夜冷で60~70日、無処理で70~90日以上になっております。成分量的にも肥効期間的にも不足しています。特に近年のように熱い時には肥料は早く切れてしまいます。芽無しの防止や確実な花芽分化のために、置き肥の2回施用や液肥との併用を行ってください。
※マイクロロング、IB化成を使用する場合は、効き始めるのが遅いので、活着後1~2回アミノキッポなどの液肥をかん水してください。
☆発根促進と定植後の活着促進
近年は、育苗期間が長くなってきているので、苗の老化防止と徒長抑制に8月上旬と定植2週間前ころにポット抜きをして発根を促し、苗の老化を防いでください。
そして、それぞれポット抜き後に
新チャンス液S 300倍 + メリットM 800倍
を混用して1~2回かん水してください。
☆追肥の時期と方法
窒素の切り過ぎは、不時出蕾の原因や展葉の停滞により、花芽分化が遅れる場合があります。しかし、ここ数年の気温上昇で夜冷でも花芽分化が遅れてきております。育苗後半には窒素レベルが高くならないように注意してください。
窒素の目安は、硝酸イオン試験紙で以下の通りです。
【とちおとめ】
無処理 8月中:100~250 9月以降:50~100
水夜冷 処理期間:100~250 分化後:100~500
クーラー夜冷 処理期間:100~500 分化後:100~500
【いばらキッス、やよいひめ】
無処理 8月中:100~250 9月以降:10~50
夜冷、遮光 処理期間:25~50 分化後:50~100
液肥施用目安は、7,000本の苗に対し、アミノキッポ1kgを3~5日おきにかん水してください。(1回に窒素約10㎎/株)
☆葉面散布について
※花芽分化促進のために、夜冷の場合でも必ず行ってください※
ここ数年は、秋の高温や曇天のために、分化が遅れたり分化後の花芽の成長が遅れたりして、収穫開始が遅れたり、腋花の分化の遅れやバラツキが目立ちます。しっかり花芽を分化させて、成長させるためにしっかりと葉面散布を行ってください。
◎8月15日以降 メリット赤 300倍 または ホップアップ 300倍
毎日葉面散布!
・かん水で施用する液肥もリン酸の多い山型肥料に切りけて下さい。
・夜冷処理を行う場合は、ホップアップを施用してください。
☆葉かき
※花芽の揃いと分化促進のために!
葉数は、開花時に8枚以上が理想です。最終的には、検鏡時の葉数+未展開葉数=8枚以上になるように管理します。
目安としては鉢上げ後、新葉が1枚展開したら、すべての苗の葉数を1.5~2枚に揃えるように葉かきしてください。その後、8月15日ごろまでは、4枚程度で管理し、8月20日ごろに1.5~2枚に揃えるように葉かきを行い、その後定植までは、葉かきを行わず葉数4~6枚の苗を定植してください。夜冷を行う場合は、夜冷開始時に2~2.5枚に葉数を揃えるように葉かきを行い、花芽分化までは3枚程度で管理して分化後は葉数を増やしてください。また、育苗期の葉かきに関しては、必ず葉柄の途中から切らずに、きちんとかいてください。
☆かん水と温度管理
※良い苗の育成と病虫害の蔓延防止のために!
葉数が3枚、4枚となっていくにしたがい、葉からの蒸散も増えていきます。午後からのかん水を行う時には下記の手順で行ってください。
1)必ずポットを抜いて培土の中まで乾いているか確認してください。
2)遮光ネットをかけてポット内部の温度を下げてから行ってください。
3)その後は翌朝まで遮光ネットをかけたままにしてやるか、夕方気温が低くなってからはずす。
4)かん水量は、夜間の過剰な水分は徒長の原因になりますので、葉水程度にしてください。
以上に注意して行ってください。また、外気温が30℃を超えるような場合は、日中遮光ネットなどをかけてしおれや焼けを防いでください。
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